三鷹の森ジブリ美術館に初めて行ってきました。

この美術館が出来たのは確か私が高校生くらいの頃だったと思うんですが、当時割と近くに住んでいたので家族と行こう行こうと話してて、でも完全予約制でなかなかチケットが取れなかったため、先延ばしにしている内に私が成人して結婚してさらには子供まで産んでしまうという。そしてその子供が早2歳1ヶ月。

その2歳の子を連れて、行ってきました。
息子はジブリ作品はまだトトロしか触れておらず、でもトトロだけは大好きで毎日のように見ているし(つーか私がこの美術館に向けて集中講座のように見せていたんですが)、『さんぽ』はかなりしっかり歌えるようになってきました。
美術館の内容をほとんど知らずに行ったので、私か息子、どっちかは楽しめるかなーどうかなーという感じだったのですが……。

ジブリ③
入り口にはトトロが。ここはチケットなくても見られます。
 
ジブリ②
鉢植えの中にはお湯屋。

館内は残念ながら全面撮影禁止なので画像はありません(パンフレットに、「物語の主人公になるには、カメラを向けるのではなく、この空間をご自分の目で見て、体で感じてください。そして、思い出は心の中に大切にしまって持ち帰って欲しい」という宮崎駿監督のメッセージが載っていました)。

建物は古い洋館風で、入ってすぐにステンドグラス越しに光が射す階段があり、全体がノスタルジックな雰囲気に包まれていました。ちなみにベビーカーでの入場は不可なので、入り口で預ける必要があります。
2階建てで地下から屋上までの4つのフロアに色々な展示がありますが、特に順路などは決められておらず、好きなように見て回ってくださいというスタンス。コンセプトは「迷子になろうよ、いっしょに。」だそうです。確かに初見では迷子になりそう。

最初に入ったのは常設展示室「動きはじめの部屋」でした。ここはアニメーション映画が出来るまでの歴史を追った展示室で、と言っても◯◯年に誰々が〜という堅苦しい話ではなく、「人はどのように絵を追いかけ、アニメーション映画に辿り着いたのか」というような内容です。昔はこんな仕掛けで動く絵を楽しんでいた、それがこんな風に進化した、こういう道もあった、そしてアニメーション映画に……という流れが、ジブリの絵や仕掛けで楽しめます。
薄暗い部屋に静かなピアノが流れていて、なんだか、「昔はこうだったんだよ」と静かに語るおじいちゃんの話に耳を傾けているような、穏やかでありながら確かに琴線に触れる、そういう展示でした。個人的には、この部屋だけでもうチケットを買う価値があるなあと思ったくらい。
息子にはちょっと退屈かなと一瞬思いましたが、とんでもなかった。ちょっと進化したパラパラ漫画のような立体像が展示されていたんですが、息子はそれに夢中になって、でも「おおおー!」という興奮ではなく、うっとりしたような、どこか切ないような顔でじっと見つめていて、こんな小さい子供でも感じるものがあるのかなあと何とも不思議な気持ちに。
ジブリ①

ジブリ作品って、こう何て言うか原風景とも言える絵やシーンが多いと思うんですが、この美術館もそういう雰囲気ですね。来たことないのに懐かしいという。そこに例えばトトロやロボット兵のような類い稀な想像力や創作力によって産まれた存在がいるので、懐かしいのにちょっと怖くて不思議でっていう、日常ではあまり動かない部分の感情をかき立てられるような場所だと思いました。


館内にはカフェとテイクアウトのお店があります。店内は満席で結講長い列が出来てました。カフェの一部の商品をテイクアウトできるカウンターがあったので、80円の「大鍋で煮出した麦茶」と、「クリームチーズとあんこのドーナツボール」を買いました。麦茶すげー美味しかった。


さらに常設展示展「映画の生まれる場所」。ここは宮崎監督の心の中を具現化したような部屋が連なり、アニメ映画に関わる人達が実際にどのような仕事をするのか、というのが紹介されています。ジブリ映画の絵コンテやスケッチなどが至る所に貼られているし、財宝が詰まった宝箱や、飛行機の模型や、大量の煙草の吸い殻や、多種多様な本が無造作に(と言っても計算されてるんだろうけど)どっさり置かれていて、宮崎監督のルーツに思いを馳せることが出来ます。好きな人はここだけで一日潰せそう。
アニメーターがいかに苦しみながら仕事をしているか、なんてことも垣間見えます。印象的だったのは、「昔はラジオなんかも持込まず、みんなで歌を歌いながらアニメを作った。今じゃみんなイヤホンして仕切りのあるデスクに突っ伏して描いてる」みたいな内容の貼り紙。この美術館、全面的に「古き良き時代」に思いを馳せる場所になってるんですよね。


そして待望の(?)「ネコバスルーム」。小さな部屋というか一角に、ネコバスの巨大ぬいぐるみがどーんと置かれています。 入れるのは小学6年生以下。5分間の入れ替え制で、大人は外から見るだけ。一応エリアの中にスタッフさんがいて、子供達が怪我をしないように見守ってくれています。
私達が行ったのは平日午後の早い時間だったためか、ほとんど幼稚園以下の小さい子達ばかりでした。
我が子がネコバスと戯れてる姿なんて、もう絶対写真に撮りたいんですが、残念ながら先述のように撮影は不可。しかも息子は戯れるどころか、ほとんどネコバスに触らず……。 ネコバスの中には「まっくろくろすけ」のぬいぐるみがどっさり入ってて、もう絶対気持ち良さそうなのに! ちょっとだけ手足に触ったり、目を突いたりしてましたが、部屋の中を彷徨ってる時間の方が長かったです。

ジブリ②

でも嬉しかったのは、息子の楽しそうな顔。ここで思ったんですが、うちの息子はどうやら「他の子が楽しそうにしてる場所」が好きみたいです。児童館でも公園でもどこでも、他所の子がキャッキャ言いながら遊んでると、特にその遊びに加わる訳でもないのに息子もやたら大喜びして、少し離れたところでニコニコしてるという姿が多いんですよね。何だかよく分かりませんが、きっと「楽しそうな雰囲気」が好きなのかな。もっと積極的に加わればいいのに!というお節介な親心がなきにしもあらずなんですが、でも他人の笑顔に幸せを感じられるというのはとても素晴らしいことだと思うので、ちょっと誇らしいし、長所として見守りたいです。


他にも色々展示があったのですが、息子の体力や私の都合などによりここで終わりに。何度行っても楽しめる場所だと思うし、チケットも大人1000円とかなり安いので、またその内来ようと誓いました。ネコバスルームは小6まで入れるし!

とにかく細部に至るまで宮崎監督とジブリの美学に浸れる美術館でした。昔は私も雲の中のお城や水中の世界を思い描く子供だったのに、今じゃ「撮影禁止かあ〜残念」なんて思ってしまうどっぷり世俗に染まった大人になったんだなーなどと自分を省みつつ、一時でもスマホの存在を忘れて胸を躍らせることが出来て、心が軽くなったような、さながらお湯屋に来たオクサレ様のようでした。まあ洗い流したところで私は神様じゃありませんけど………。きっと多くの大人がこの美術館でそんな気持ちになるんだと思います。



あ、もちろんロボット兵は見ました(屋外は撮影OK)! 息子はよく分かってなかったです。怖がってもなかった。
ジブリ